日本語で「〜した」と言われたら、それが過去に行ったことだと思うし、「〜する?」って聞かれたら、これからの話をしていると分かるでしょう。
このように、私たちは話したり聞いたりするとき、ほぼ無意識に述語の形を使い分けています。「無意識だけどきちんと形を変えている」、この点は英語を学ぶ上でも大事なことです。
今回から「時制」の話をしていきます。無意識に状況に沿った形に変えているように、アメリカ人も無意識の区別を行っています。それを知るのがこの単元です。
区別の仕方が日本人とは少し違うため、自由に使いこなすには意識して考えないといけません。でも、幸いなことに述語を変えるという点では同じです。
だから英語がどう状況を区別していて、それをどう形で表しているのかを押さえていきましょう。述語にあたる動詞は全ての英文にあるものなので、最初の単元としてやっていきます。
時制は2つの組み合わせ
最初に、時間の感覚は2つの組み合わせからできているという話から始めます。今までに【現在形】【現在進行形】【現在完了形】という名前を聞いたことがあると思います。
この中で全てに共通している言葉がありますよね。【現在】です。そこに【進行形】や【完了形】という言葉がついたり、あるいはそもそも無かったりしています。
あるいは、【過去進行形】や【未来完了形】という言葉も聞いたことがあると思う。このように、時制の名前は全て【○○+□□+形】という形をしているのです。
これが2つの組み合わせと言った理由です。まずはこのことを押さえてください。そうしたら、次に【○○】を【基本時制】、【□□】を【側面時制】という言葉で説明します。
基本時制と側面時制
【基本時制】とは、その出来事が過去・現在・未来のいつのことなのかを示すものです。今のことなのか、すでにあったことなのか、あるいはこれからのことなのか。
ここはやっぱり明確にしておかないと話しが始まらない。なので、必ず【過去】【現在】【未来】のどれかが入ります。選び方については次回やりますよ。
一方で【側面時制】は、その出来事をどんな時間感覚で指しているのかを表すものです。歌って踊ってるところをカワイイと思うか、奇跡の一枚を指してカワイイと思うか。
そういった場面を的確に表すのがこの側面時制で、【基本形】【進行形】【完了形】の3つがあります。
「いつの話をしているのか」を表すのってとても複雑なんですよね。「○○年○月○日○時○分」と時刻で表すときもあれば、「○分前」と今を基準とした言い方もある。
あるいは、「さっき」みたいに数字を使わない方法もあるし、「勉強している間」と言えば、15分とか1時間とか、とにかくしばらくの間ずっと続くことだったりする。
このように複雑だからこそ、過去・現在・未来という軸に別の角度から光を当てることで、時間の立体感を感じられるようにする。それが時制なのです。
時制はざっくりと表すもの
- I watched the movie.
最後に、時制はざっくりとした場面しか表さないという話をして今回は終わりにしたいと思います。時制とは動詞の形だと言いましたが、それだけではいつのことか分かりません。
例文では、今より前にその映画を見たことが分かります。でも、それが昨日の話なのか、まだチビだったときの話なのかは分かりません。
1977年に『スター・ウォーズ』を観たという話なら、「お、リアルタイムで観たんだ」だし、昨日『ローマの休日』を観たなら、「そっか、古典を観たんだ」って話になる。
どちらも、動詞は過去基本形で書きます。そして具体的にいつのことかを示すためには、[yesterday]等の単語を別に書く必要があります。
これらは「昨日観た」と動詞を修飾していると捉えられるので、副詞となります。動詞はタイミングをざっくりと表し、細かいことは副詞で補足すると覚えておきましょう。
ちなみに、[I watched the movie.]と言った時点でこれはテレビで観たことを意味します。映画館で観るときは[see]を使うので、スター・ウォーズの例を表すことはありません。
今回のまとめ
以上が時制を学んでいくための大まかな話でした。時制は2つの組み合わせであること、それを動詞の形で表すこと、そして細かいことは副詞で書くこと。この3点です。
ちなみに「基本形」は通常言いません。いわゆる現在形とか過去形がこれ。それから「側面時制」という言葉は僕が使っているだけで正式名称ではありません。
そもそも、「時制」という言葉は「基本時制」のことしか指しません。完了形や進行形は「相(そう)」という別の言葉で語られるものです。いや、そんな感じっぽいです。
この講義で大切にしているのは、会話で使えるか、もしくは問題で正解できるか。その点からここの詳しい話が大事だと思ったことはありません。
基本時制と側面時制でOKだと思っています。