英語に未来形はないよー。未来は現在形の一部なんだよー。だからこういうパターンだと、結果的にそれは未来の内容だよー。こんな話を前回してきました。
逆を言えば、未来のことを話したいときは前回挙げた4つのパターンのどれかにすればよく、これまでの経験的にも【will】を置けば大体OKという感覚を持っているでしょう。
今回はそんなところに水を差す話です。「未来のことだけど、こういうときは絶対にwillを置くなよ!絶対だぞ。フリじゃねーぞ」って話。
未来のことなのにwillを書けない場合
いきなりですが、下のルールを覚えてください。一語一句間違えることなく、早口で言えるように。できるまでは続きを見てはいけません。
「時や条件を表す副詞節の中では、未来のことであってもwillを使わず現在形で書く」。
いきなり覚えてもらったのは、本題に入る前にちょっと準備が必要だからです。willがどうのこうのより、まずは「副詞節」を知らないといけない。
あくまでも「時や条件を表す副詞節の中では、未来のことであってもwillを使わず現在形で書く」の話をしたいんだけど、仕方がないから違う話からやると思って読み進めてください。
副詞節とは
時制の初回で「昨日」とか「8時に」といった具体的な時は副詞として付け足すんだと言いました。yesterdayを使った例文を見てみます。
- I drank too much yesterday.「昨日、私は飲み過ぎた」
大学生になると飲み会の日々を送る人もいるでしょう。ま、内容はどうでもいいとして、この文からyesterdayを取り除いてみるとどうなるでしょうか。
いつのことだかが分からなくなるだけで、過去のどこかで私は飲み過ぎたんだってことは伝わります。では「いつ」の部分がyesterdayではなくて文になったらどうだろう。
- I drank too much when I was a college student.
「昨日」が「大学生のとき」に、単語が文にと変わっただけで、「私は飲み過ぎた」+「いつ」の組み合わせは変わっていません。
ってことは、yesterdayが副詞なら、when I was a college studentの部分も副詞の働きなんだと言えませんか?ここで「節」について説明します。
「節」とはSVを含むカタマリのことです。簡単に言えば「文」。when~studentはI wasという主語と述語を含んだ1つの文になっていますよね。だからこれを節と呼びます。
そしてそのカタマリが副詞の単語と同じ働きをしているので副詞節と呼ぶのです。「大学生のとき飲んだ」というように、動詞を修飾する副詞として訳しましょう。
時や条件を表す副詞節
副詞節を分かってもらったところで、今回のテーマである「時や条件を表す副詞節の中では、未来のことであってもwillを使わず現在形で書く」の話に戻ります。
さっきの「自分が大学生だったとき」のように、その副詞節が「時」や、あるいは「条件」の意味になるとき、未来の話でも中で【will】を使いません。例文を見てみましょうか。
- I will call you when I arrive at the station.
- If it is fine tomorrow, we will go to the beach.
- After I have finished my homework, I will go to bed.
それぞれ、「駅に着いとき電話します」「もし明日晴れたら海に行きます」「宿題が終わったあと寝ます」の意味です。callは「呼ぶ」以外に「電話する」もありますよ。
3つ目は現在完了形を使っているので、順番に読んでくれている人は気にしないでください。2周目、3周目と復習するときには両方あった方がいいと思うので並べました。
1文目のWhenより後ろ、2文目のIfからカンマまで、3文目のAfterからカンマまでが、それぞれ副詞節です。全部そのまま動詞につなげることができますよね。
で、「駅に着いたとき」も「明日晴れる」も「宿題が終わる」のも、全部これから先のこと。つまり未来の話です。だけど、【will】は使わずに【現在形】で書いてください。
原形じゃなくて現在形ですよ。だから2文目ではitに反応して動詞がisになっているし、仮に1文目のwhenの後ろがheとかなら、3人称単数が適用されてarrivesになります。
willを置けない理由
きちんと納得し、ちゃんと覚える。それが勉強ができるようになるコツです。理解のない暗記は苦しいだけだし、分かっただけで何もしないのはただの満足。
理解力にも記憶力にも個人差はあるかもしれません。でも「納得&理解」と「記憶」この2つを揃えること、それ以外に楽しくできるようになる方法はありません。
その意味で言うと、今回の説明は不完全ですね。willを使うなというルールは話したけれど、何故使ってはいけないのかという理由にについては何も言っていないからです。
ダメなら何故ダメなのか。それをきちんと言わなければいけない。今回willが使えない理由は、【will】自体の意味にあります。
未来の内容でも触れたし、きちんとした説明は助動詞まで待ってもらいたいけど、【will】には「〜するつもりだ」と訳す【意思】と、「〜するだろう」と訳す【予測】の2つの意味があります。
- I will go to Starbucks.は「私はスタバに行くつもりです」
- It will rain tomorrow.は「明日雨降りそうだ」
「~するつもり」は「まだしてない」ことだから結果として未来のこと。「~するだろう」は「まだ起こっていない」ことだから結果として未来のこと。
「スタバ行くか」は自分の意思で、「明日雨降りそう」は予測です。意思を持つのは生き物だけど、予測の文はこんな感じで主語が人とは限りません。
あと「(飲んだ後)いやー、これラーメン行っちゃうわ」っていう予測みたいな言い方をするときもあるけど、これも完全に自分の意思ですね。
次の文はさっきの下の文を副詞節にしたものです。ルール通りwillは書いていません。
- If it rains tomorrow, I won't go out.「明日もし雨が降ったら、私はひきこもる」
雨が降るのは「明日」、つまり未来のこと。主語が人じゃないからwillを使うとしたら「予測」の方の意味でしょう。だけど、これって予測してるのかな?
この文に「明日雨降りそうだなあ」っていう意味は入っているでしょうか。
実はないんだよね。たしかに降りそうだから言ったのかもしれない。でもセリフ自体にその意味合いはない。「降ったらひきこもる」と言っているだけ。
降るかもしれないし降らないかもしれない。どっちか分からないけど、もし降ったら「僕はひきこもります」って言ってるだけなんです。予測してないでしょ?
変に空気を読むと英語も現代文も間違えますよ。
だからwillを使えないんじゃなくて、そもそもいらないっていうのが、この「時や条件を表す副詞節の中ではwillを使わない」というルールの本当の理由でした。
予測とかいう難しい話じゃなくて、「will=未来」ってほとんどの人が教わってしまうので、使えないっていう表現をされているだけ。
willを使える場合
そして本当にwillの意味が必要なら書いて全く問題ないのです。【予測】のwillは必要がないから使えない。ただし例文のように【意思】のwillは置いて問題ありません。
- If you will go to Starbucks, I will go with you.
「もしあなたがスタバに行くつもりなら、一緒に行きます」
今回のまとめ
以上が、「時や条件を表す副詞節の中では、未来のことであってもwillを使わず現在形で書く」という話でした。
基本時制の中でかなり大事なところなので、必ず覚えておいてくださいね。
後半でwillを使えない理由についても話しましたが、大学受験を突破したい、あるいはTOEICで点数を取りたいっていう理由で勉強している人は、気にしない方がいいです。
ここで【will】の意味が必要かどうかを問う問題なんて出ませんから。「副詞節の中では【will】を使えない」と思っていたほうが、効率から見ればお得です。
ただし、「たしかに時や条件の意味を表しているけれど、副詞節じゃないよね?だから【will】をください」っていう問題は出てきます。ここがテストのための英語として必要なところです。
次回は「これが時や条件を表す副詞のカタマリや!」っていうものを紹介します。