「時や条件を表す副詞節の中では、未来のことであってもwillを使わず現在形で書く」。基本時制の中でとっても大事な話を前回説明しました。
今回は「そもそも副詞節を判断できますか?」というのがテーマです。「時」や「条件」を見た瞬間に動詞は現在形と思ったら、痛い目見るよ。そんな話をしていきます。
時や条件を表す副詞節
「時」や「条件」と言われると、【when】や【if】ばかり想像してしまう人も多いでしょう。でも本当はもっとたくさんあります。ちょっと挙げてみましょう。
時を表す副詞節
when(〜するとき)・while(〜する間)・till/until(〜するまで)・before(〜する前に)・after(〜する後に)・since(〜してから)
条件を表す副詞節
if(〜するなら)・unless(〜しないかぎり)・once(いったん〜すれば)
これくらい覚えておけば、まずはOKです。「時」は副詞になることは前にも言いました。「条件」も同じく副詞となります。「〜するなら、やる」と動詞にかけられますよね。
whenとifには名詞節がある
ただし、【when】と【if】の2つは、副詞節だけでなく名詞節の働きも持っています。名詞節ということは、このwillを使わない話とはそもそも無関係。
一番よく見るこの2つの接続詞に、こんなトラップが仕掛けられているわけです。問題はこの点から作られることがとても多い。例文を見てみましょう。
- I will be at home when he comes.
- I don't know when he will come.
- I will go out if he comes.
- I don't know if he will comes.
1文目と3文目はこれまで話した通り副詞節だと感じられると思います。「彼が来るとき、私は家にいまーす」「もし彼が来るのなら、私は出かけますよ(ちょっとひどい)」。
ただ、2文目と4文目も同じように訳すと「彼が来るとき私は知らない」「もし彼くるなら私知らない」になって、意味がよく分かりません。外国人の日本語みたいになってしまう。
そうではなくて、2文目のwhenは「いつ〜か」と、4文目のifは「〜かどうか」と訳します。「いつ彼がくるかを知らない」「彼が来るかどうかを知らない」。OKですよね。
なんでこのように訳し方が変わるかというと、働きが違うからなんです。ここから、どうやって副詞節かどうかを判断するかに入っていきましょう。
名詞節と副詞節の判断方法
先程の例文のうち、2つの文をもう1度並べます。
- I don't know when he will come.
- I don't know if he will comes.
knowが他動詞なのはもう大丈夫でしょうか。「何を?」と質問できるから他動詞です。
他動詞ということは必ず目的語が必要。そして今はknowの後ろに【接続詞+文】しかありません。ということは、これが目的語にならないといけない。
目的語になれるのは名詞だけなので、この【when he will come】と【if he will comes】は名詞節なんだと考えます。
whenは副詞節のときは「〜するとき」で名詞節が「いつ〜するか」。ifは副詞節が「もし〜するなら」で名詞節が「〜するかどうか」。この区別はぜひ覚えておきましょう。
whenあるいはif節を訳すときは、どっちの方がより適しているかを考えてもいいです。また、動詞が自動詞か他動詞かが分からないときも、この訳で考えてしまいましょう。
でも、英語力を上げたかったら先に名詞か副詞かを考えてみるクセをつけてください。
「〜するやいなや」の表現
時や条件を表す副詞節について、最後に「〜するやいなや」構文という話をしていきます。「〜するとすぐに」という意味で、やはり「時」を表す表現です。
[as soon as 〜]という表現が代表的で、[〜]の部分に文がきます。時を表す副詞節なので、未来の内容でもwillを使わず現在形で書きます。
[as soon as]の表現を知っていれば、これはそこまで大変ではありません。ここのポイントは、この「〜するやいなや」の意味を表す表現がたくさんあることです。
節を作る表現は少ないので、今回の未来のことでもwillを使わず現在形のルールとは関係ない話になってしまいますが、この際にぜひ一緒に覚えておきましょう。結構使います。
- as soon as
- the moment SV
- the instant SV
- the minute SV
- right after
- immediately
- instantly
- directly
- On Ving
- no sooner 〜 than
- hardly ~ when
- scarcely ~ when
いきなり12個は多いと思うので、先に[1,2,9,10,11,12]の6つを覚えてみてください。圧倒的に問題に出てきます。以下がその例文です。
- I’ll give you a call as soon as I arrive at the station.
- I’ll give you a call the moment I arrive at the station.
- On seeing me, she ran away.
- No sooner had I come home than it began to rain.
- Hardly had I come home when it began to rain.
[as soon as]が接続詞なのはすでに言いました。[when]に代えたら今まで見てきた文と同じ形をしているのが分かるでしょう。問題はそれ以外です。
ここまでに話していない文法事項が使われているので、簡単に話はしますが、後回しにしてもらって大丈夫です。
the moment SV
[the moment SV]はもともと[at the moment when SV]の形でした。このwhenは関係副詞というもので、今回話してきた接続詞のwhenとはちょっと違います。
the momentはyesterdayと同じく、名詞としても副詞としても使える単語。なのでatが取れることは問題ありません。
ちなみに、TwitterやFBで外国人をフォローしていると[ATM]という表記を見ることがあります。これはこの[at the moment]の訳。「今この瞬間」という意味です。
On Ving
[On Ving]は前置詞の後ろに動名詞が来たものです。前置詞+名詞だから修飾語よって言っているだけなので、特別なものではありません。動名詞の説明でまた触れましょうね。
no sooner 〜 than・hardly ~ when・scarcely ~ when
最後に一番問題なのが[no sooner 〜 than][hardly ~ when][scarcely ~ when]の3つ。これは【否定語と倒置】というキーワードだけ頭に入れておきましょう。
[had I]というように、[I]と[had]の語順が逆になっていますよね。これが倒置です。
この話をし始めると完全に今回のテーマから外れてしまうので、説明はしないでおきます。どうしても気になる場合は仮定法を見てもらえればと思いますが、順番にやっていきましょう。
今回のまとめ
以上が時や条件を表す副詞の話でした。前回と合わせてこれで「時や条件を表す副詞節の中では、未来のことであってもwillを使わず現在形で書く」の話はおしまいです。
ちなみに、なぜ「時」と「条件」の2つなのか、それをちょっとだけ話しておきましょう。
前回、「駅に着いとき電話します」「もし明日晴れたら海に行きます」「宿題が終わったあと寝ます」という3つの文を例に出しました。【時】【条件】【時】の文です。
説明のために一応直訳っぽくしましたが、1文目と3文目は「駅に着いたら電話します」「宿題が終わったら寝ます」の方が自然ですよね。
そうなると、全て【条件】の訳でいいことになります。つまり、【時】も【条件】も、未来の内容を言うときは、主節の行為が発動する条件という点で同じなのです。
なので、【時】と【条件】が選ばれているわけではなく、発動条件を書く際はwillいらないよっていうのを具体的にしたものが【時】と【条件】だったのです。
では、今回で基本時制についてはおしまいです。次回から完了形について見ていきましょう。