今回から完了形についてやっていきます。進行形に続く、側面時制の2つ目です。まず形は大丈夫でしょうか?動詞を【have+過去分詞】にしたものになります。
過去分詞は【Vp.p.】と表記します。毎回過去分詞と書くのはムダなので、進行形を【be+Ving】と書くのと同様、完了形は【have+Vp.p.】と書いていきますよ。
未来の内容で少し触れましたが、完了形、特に現在完了は日本語にない感覚です。だから訳を覚えても意味不明になります。
中学のときの説明、分からなかったでしょ?
中学英語は多くの場合に訳を覚えさせてくる。でも現在完了についてはそもそも日本語にないんだから、直接対応する言い方ができないんです。
何を言っているのか、そのイメージをちゃんと理解して、それを表せる言い方を考えていきましょう。何を言いたいかが分かれば、それを表す方法は必ずあります。
現在完了はいつのことか
ではさっそく、完了形がどんな場面を表すものなのかを押さえていきましょう。まず、間違えてほしくなのが、現在完了は【過去】のことっていうことです。
「現在」ってあるから勘違いしやすいけど、まず過去にしたっていうことがスタートになります。これだけだったらもちろん過去形と同じもの。
で、それが現在まで何かしらの形で続いている、その要素がプラスされたのが「現在完了」です。過去にやったこと・始めたことの結果、現在はこうですよって言ってるんです。
かなり紛らわしいけれど、大事なのは【現在】、でもそれは【過去】があるから。過去から現在までつながる、幅のある表現だと覚えておきましょう。次の例文を見てください。
- She went to America.
- She has gone to America.
上の文は過去形、下の文は現在完了形です。2つの違いを正確に答えられるかな?どちらもアメリカに行ったのは過去の話。その点で過去形と現在完了は全く同じです。
で、その過去にやったこと、それしか言ってないのが過去形です。つまり「彼女は(過去に)アメリカに行きました」とは言ってるけど、「今?そんなの知らんよ」って状態です。
もう日本に帰ってきてるかもしれないし、永住権を取って楽しく暮らしているかもしれない。さらに南米に移ったかもしれないし、のたれ死んでる可能性もなくはない。
とにかく今については何も言っていません。
これに対して現在完了は「今どうなの?」っていうのに力点を置いている表現。下の文はgoしっぱなしの状態が続いているので、「だから今は日本にいません」と言っています。
これが過去形と現在完了形の違いです。もう1つ例を出しましょう。
- I lived in America.
- I have lived in America before.
この2つも、過去にアメリカに住んでいたというところからスタートします。どう違うかというと、現在の話をしているかどうかでした。
「父親の仕事で行った」といった当時の話をしようと思う場合は過去形です。現在のことには特に触れないからね。
一方、「だから俺英語ペラペラだぜ」とか「次はフランスに住みたい」と言ったように現在の話を続けようとする場合は現在完了を使います。
少しずつ現在完了が分かってもらえたでしょうか。最後に会話のシーンをイメージしてみましょう。相手に「一昨日熱を出しちゃってさ」って言われたら、どう思いますか?
そのときに何か約束をしてたとかなら少し違うかもしれないけれど、基本的には「今は大丈夫?」っていう話がしたいですよね。
「今はもう復活した」って言われたら「よかったね」って言えるし、「まだちょっとダルい」って言われたら「ムリするなよ」って言ってあげられる。
こんな形で現在のことが話のメインになることって、思ったよりもずっと多いんです。だから現在完了ってのは英語を使ったコミュニケーションではとても大事なのです。
現在完了は幅のある表現と一緒には使えない
「過去に○○した結果、今はこう」。過去から現在につながっている表現が現在完了だと分かれば、そこからもう1つ大事なことが分かります。
それは、現在完了が逆に過去の1点しか表さない表現とは一緒に使えないってことです。問題を解く際、これはとてもいいヒントになります。
たとえば前回までやってたwhen。「〜したとき」っていう表現は、本当にそのときのことしか言ってなくて、それ以外については何も分かりません。
「僕が家に帰ったとき、母さんは出かけてた」で考えると、帰ったときはいなかったしか言ってなくて、だからどうしたとか、結局いつ母親が戻ってきたかとかは全く分かりません。
そのときのことしか言っていないってことは、当然現在のことにも触れません。なので、そんな時間や場面を限定する表現とは、現在完了は一緒に使えないのです。
そういう過去の1点を表す表現として、以下のものを覚えておきましょう。
- when
- -ago
- just now
- last~
- yesterday
- what time
- the other day
- at that time
ちなみに、過去の1点というのは、過去の一瞬とは違うから気をつけてください。どんなに時間が長くとも、現在とつながっていなければ過去の1点と言います。
たとえば、「私が駅に着いたとき」、これは着いたその瞬間のことを指しているので、過去の1点という言い方に特に違和感はないでしょう。
でも、「私が小学生のころ」っていうのも、たとえ1億8921万6000秒(閏年は無視)あったとしても、それを「現在」と呼べない限りは過去の1点と呼びます。
今回のまとめ
以上がまず「現在完了とは何ぞや」という話でした。とにかく現在完了は「過去から現在までつながる時間の幅」と覚えておきましょう。
それから、このhaveは一応助動詞のhaveと呼ばれるものです。一応と言ったのは、willやcanといった王道の助動詞とは違い、個人的なルールをいろいろ持っているから。
なのであまり深くは考えないでほしいですが、1つだけ、否定文と疑問文の作り方は助動詞のそれと同じだと覚えておいてください。
つまり、否定文にするときはhaveの後ろにnotをつけるし、疑問文にするときは[Have ~?]となる。ここだけは覚えておいてください。