不定詞・動名詞・分詞・分詞構文の4つに共通するルール、2つ目は「意味上の主語」についてです。
意味上の主語と言われてもピンと来ないですが、要は【to V】あるいは【Ving】になっている動詞の主語は何ですか?という話になります。
動詞を見かけたら、その主語はなんだろって考えるのは普通のこと。だからこれも決して特別なことではありません。
普通の不定詞の文
- I want to read book. 「私は本を読みたい」
- This book is difficult to read.「この本は読むのがムズい」
まずは不定詞を使った文を2つ挙げてみました。上が名詞、下が副詞の用法で使われていますが、今回は気にしないでください。3用法のところでしっかりやります。
この2つはどちらも意味上の主語が書かれていない文です。では上の文で、[to read]するのは誰でしょうか?
もちろん、文頭にある[I]、つまり「私」ですね。そしてこの[I]は当然[want]の主語でもあります。このように普通の不定詞の文では、toVの主語は文全体の主語になります。
一方の「この本は読むのがムズい」、こちらは[is]の主語が[This book]なのはいいとして、[to read]の方はどうでしょうか。
「本が読む」にはもちろんなりません。こういう場合は「みんなが」といった感覚で一般論的に使われるのです。受動態でも明らかな場合は書かなかったね。同じです。
このように、何も書いてない場合の不定詞の主語は「文全体の主語と共通」or「一般論」のどちらかになります。まずはここを押さえておきましょう。
不定詞の意味上の主語
では、今回のテーマである「意味上の主語」の話です。下の文は、先ほどの2つ目の文に意味上の主語を足したものです。
- This book is difficult for me to read.
不定詞の主語が「文全体の主語」でも「一般論」でもない場合、不定詞の前に【for ~】を足してください。これが意味上の主語になります。
今回も[for me]が加わることで、「この本は私にとって読むのが難しい」という意味に変わります。
「マンガは好きだけど私は小説が読めない」とか、「この本を見ると振られた彼女を思い出すから見たくない」とか、理由はなんでもいい。
とにかく「(他の人がどうか知らないけど)私には読めないです」っていうことを伝えたいとき、意味上の主語を足しましょう。
もちろん「私」じゃなくても変わりません。「彼にとって」でも作り方は同じです。とにかく、【for + 人】で書きます。
注意点としては、[for]の後ろなので目的格で書くこと。主語だと思うとつい主格にしてしまう人がけっこういます。
その意識は全然悪いものではないんだけど、英語はそれ以上に形が優先させるので、ここは目的格です。
動名詞の意味上の主語
次は動名詞の意味上の主語です。なんか4つ順番にやっていくように思うかもしれませんが、大丈夫。意味上の主語は不定詞と動名詞だけ覚えてもらえばOKです。
もちろん分詞にも分詞構文にもあるけれど、この2つは文法の説明の中に自然に含まれているので、意識する必要がありません。では、動名詞の話に戻ります。
不定詞と違い、動名詞の意味上の主語は【所有格or目的格】を【Ving】の前に書くだけとなります。形は異なるけど場所は同じってことですね。以下の例文で見てみます。
- He is proud of being great soccer player.
- He is proud of his son('s) being great soccer player.
上の文は「彼はスゴいサッカー選手になったことを誇りに思っている」という文です。[being]の前に人を表す表現がないので、[is]と[being]の主語は同じです。
一般論の可能性は?って思った人がいたら、その人はもうちょい考えましょう。「(一般的に)人がスゴい選手になることを彼は誇っている」。意味不明。だから主語が同じと考えるべきです。
この文が「いやいや、スーパースターになったのは彼自身じゃなくて、彼の息子だよ。彼は子どもが活躍してるのを誇りに思っているんだ」となったのが下の文です。
この文では[his son(’s)]としました。これは「son」だけなら目的格だし、「son's」なら所有格になるので、どっちでもいいという意味です。
ただの代名詞だけなら[him]や[his]で大丈夫。でも人名や「子ども」のような立場を書く場合はこんな形になるのを確認しておきましょう。
以上が基本的な意味上の主語の形でした。
人の性質を表す形容詞はof
基本的な話が終わったら、次は例外的な場面の話がやってきます。「人の性質を表す形容詞があったらofにする」というもので、再び不定詞の意味上の主語に戻ります。
- It is natural for him to get angry.
- It is very kind of you to help me.
2つの例文は「仮主語構文」と呼ばれるものです。詳しくは不定詞の名詞的用法で話しますが、訳すときは不定詞の部分を[It]のところに持ってくるというもの。
上の文は意味上の主語である[for him]も含めて「彼が怒る」を主語と考えます。全体では「彼が怒るのは自然なことだ(=当然だ)」という内容です。
ここまでは意味上の主語のごくごく自然なルール。問題は下の文なんですね。[for]の部分が[of]になっています。
これが特別な場面です。前に人の性質を表す形容詞があった場合、そのときの意味上の主語は【of ~】になるのです。
人の性質ってのは「あいつ○○だよね」の「○○」に入るものはだいたい当てはまります。「頭いい」とか「礼儀正しい」とか「クソヤロー」とかですね。
ちなみになんで[of]を使うのかというと、これは実は例外でも何でもないんです。
そもそも意味上の主語を表すのに[for]が使われるのは、これが「限定」を表す単語だからです。「彼に限定したら当然だ」という読み方になります。
何もなかったら「みんなにとって」となるところを「彼」に限定しているわけなので、これを表す[for]が使われます。
一方の[of]の方は、「部分」という意味を表す前置詞です。「私を助けるのは彼の親切だ」というように、その親切さは彼の一部なんだという捉え方をするのです。
否定と意味上の主語の順番
最後に1つだけ、書くときの順番について補足します。不定詞の意味上の主語のところで、意味上の主語は否定のときと同じくtoVの前と言いました。動名詞も同じです。
ただ、両方あったときはどうするのか、念のためにこれにも触れておきましょう。否定と意味上の主語が両方あった場合、【意味上の主語】→【否定】の順番で書きます。
- It is good for you not to get a girlfriend.
「彼女作らないほうがいいよ(受験勉強中は)」
以上が準動詞の共通事項の2つ目、意味上の主語に関してでした。
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