比較級を使った文にはよく前に[no]や[not]が付いたものが出てきます。notが付いてるだけならなんとなく分かる。でもnoのバージョンが出てくると途端に分からなくなる人が多いところ。
だからきちんと説明をしておきたいし、この話は原級の劣等比較がなぜ「同じくらい〜でない」にならないのかって話の答えにもなります。
notとnoの違い
- He is not taller than I am.
- He is no taller than I am.
- =He is not any taller than I am.
- =He is as short as I am
最初に[not]と[no]がどう違うのかという話からします。外見上は[t]があるかないかだけなのに、意外と大きな違いがあるんです。
まずnot、これは単純に文を否定します。だから「彼が私より高い、なんてことはない」→「彼は私より高くない」と訳すのが1つ目の文。
これに対してnoは「直後の語を否定」+「差を否定」する単語です。どういうことかというと、まずは直後のtallerを否定します。だから彼は高くないんです。
そして彼と私の「差」も否定します。だから彼が高くないなら私も高くない。「彼は私と同じくらい高くない」という意味がこうして出来上がります。
前回も言ったように、no=not anyだし、結局は「小さい」と言ってるわけだから基準に使う単語を逆の意味にすれば原級でそのまま書くことができる。こうして3つの文は全て同じ内容になっているのです。
no more ~ thanとno less ~ than
- A whale is no more a fish than a horse is.
- She is no less beautiful than her sister.
【no more ~ than】と【no less ~ than】の表現を確認しておきたいと思います。それぞれ「Bが〜でないのと同様にAも〜ではない」、「Bが〜であるのと同様にAも〜である」という意味になります。
クジラの構文っていうのがあるのを知ってるかな。この表現を学校でやるときによく例に出されるのがこの上の例文です。
「クジラが魚じゃないのと同様に、馬も魚じゃない」という意味で、「だから?」っていう感想しか持たないと思います。本当に知らなくていいものです。
ただ、大事なのは[more]の意味を考えたら間違うということです。この熟語でそれを考えると「クジラは魚以上で…」みたいになって意味がわからなくなります。そこだけ注意してください。