受動態とは〜目的語を主語にして書き換えた文

今回からは受動態の話をしていきます。「受動態って何?」と聞くと、「れる・られると訳すやつ」っていう答えが結構な割合で返ってきます。

正しいっちゃ正しいけれど、それは受動態で書かれた文を訳すと結果的にそうなる可能性が高いだけであって、「受動態=れる・られると訳すもの」ではありません。

そう考えると間違えてしまう問題も多いし、これは次回の話になるけれど、受動態には文型のところで話せなかったラストピースを埋める、大切な役割があります。

大切だからこそやることは多くありません。

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受動態とは

最初に受動態の定義から始めましょう。「受動態とは目的語を主語にして書き換えた文である」、まずはこれを確実に覚えてください。形は動詞を【be+Vp.p.】の形にします。

  • Everybody trusts her.
  • She is trusted by everybody.

「みんな彼女を信頼している」という文。それを受動態にしたものが下の文です。作り方は別のところで話しますので、今はこの2つが書き換えられた同じ文だと思ってください。

上の文で[her]は目的語です。何故かの説明はもう大丈夫ですよね。下の文ではそれが主語になっています。もちろん主語だから形は[She]に変わっている。

目的語を主語の位置に移した上で、同じ内容の文を作る。それがこの受動態ということになります。ちなみに受動態ではない文は能動態と呼びますね。

ここから、2つのことが分かります。まず、目的語がない文は受動態にできないということです。目的語を主語にして書き換えたものだから、そもそも目的語がなければ作れません。

もう1つは、全ての受動態の文は能動態に書き換えることが可能だということです。別に化学変化の話をしているわけではないので、もともとが能動態を書き換えた文だから、元に戻せます。

今はまだその重要性を実感できないと思いますが、あとの方の話の伏線になっていると思ってしっかり覚えておいてください。

では、「そもそもなんで書き換えるの?」って話をしていきましょう。

受動態にする理由

受動態は目的語を主語にして書き換えた文。この書き換えをわざわざ行うのには、主に2つの理由があります。【主語の省略】と【SとOのパワーバランス】です。

順番にまずは【主語を省略】からいきましょう。さっきの例文で分かる通り、受動態はもともとの主語を【前置詞(by)+名詞】の形で書いています。

ということは、働きとしては修飾語なので、別に無くてもいいもの。つまり受動態はもともとの主語を省略できる文でもあるのです。

主語を省略することには3つのメリットがあります。主語を言う【必要がない】【言いたくない】【分からない】です。これが分かると受動態は身近になります。

主語を言う必要がない

  • He was not elected mayor.

たとえば彼が浮気をした場合、怒るのは言わなくても彼女でしょう。だから「彼は浮気がバレて怒られた」だけで良くて、[by her]とかは別に書かなくてもいい。

ただ、もしブチ切れたのが彼女のパパで、そりゃもう修羅場でしたみたいな話をする場合、それはもちろん[by パパ]と明記しないといけません。

例文の意味は「彼は市長に選ばれなかった」です。わざわざ「市民によって」なんてつけなくていいですよね。この文は落選を伝えるのが一番の目的なので、むしろ無いほうがストレートにそれが伝わります。

主語を言いたくない

  • The window was broken.

それから、自分が何かを壊してしまった場合、よく「○○が壊れました」って言う人がいます。いやいや、お前が壊したんだわ!って話ですが、気持ちは分かります。

これと全く同じ状況を作ってくれるのが受動態。訳としては「その窓は壊された」になるけれど、主語を隠して述べることができています。

このように主語を言いたくないとき、受動態はとても便利なんです。

主語が分からない

  • Was your iPhone stolen yesterday?

主語を省略するメリットの最後は、そもそも主語が分からないときです。たとえば、「彼は殺された」って言うとき、犯人がまだ分かってないことって普通にあるでしょ。

そういうときは「誰かに」ってのをわざわざ足してもいいけど、いらないと思うのが普通でしょう。書くなら「犯人はまだ分かってません」という文を別に書くほうが親切です。

こういうときも元々の主語を隠せる受動態は、使い勝手がいいのです。例文は「昨日iPhoneを盗まれたの?」の意味。これも誰にかは分からないけれどという意味を含んでいます。

SとOの位置を変える

受動態を使うもう1つの理由は「位置関係」です。主語を受動態にして後ろに回したり、後ろの目的語を前に出すことで、強調したり自然な文を作ることができます。

「彼女はそのプロジェクトを成功させた」って言うより、「そのプロジェクトは成功したよ、彼女のおかげでね」と後から付け足して言った方が、彼女の功績ってのを強く出せる感じがする。これが主語をわざわざ後ろにしたいときです。

あるいは、「私はあの娘が好きで、彼女はパパに溺愛されてます」みたいな文は、この日本語と同じく、前半の目的語であるthe girlを、そのまま主語にして後半の文を作った方が自然な流れで文を作れます。これはわざわざ目的語を主語にしたいとき。

英語と日本語は言葉の作りが全然違うので、基本的には「日本語で考えるな」と言いました。ただ、「だって同じ人間だもの」って感じで感覚が共通する点ももちろんあります。

主語を隠したいという話もあったように、そういった気持ちの部分を割りと再現してくれるのが受動態なのです。

受動態はbe動詞の文

今回の最後として、念のための確認をしておきます。それは受動態がbe動詞の文だってことです。基本は一般動詞の文を変えるので、ついついdon’tとかをつけてしまいがち。

でも【be+Vp.p.】にするということは、それはbe動詞の文になるということです。だからすでに挙げた以下の例文も、be動詞の否定文と疑問文の形になっていました。

  • He was not elected mayor.
  • Was your iPhone stolen yesterday?

それから、まだ単元としては説明してませんがcanなどの助動詞は動詞の前につくため、そして直後の動詞は原形と決まっているため、以下のような文を作ります。

  • The aurora can be seen in yellownife.
    「イエローナイフでオーロラが見える」

今回のまとめ

以上がまず「受動態とは?」という話でした。「〜される」と訳すのは結果的にそれが自然なだけであって、先に「目的語を主語にして書き換えた文」があるのを忘れないでください。

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