今回は制限用法と非制限用法についてのお話です。簡単に言えば関係代名詞の前にカンマがあるかないかの違いについて。これまでは無い文ばかりだったので、ついたらどうなるかを説明します。
制限用法と非制限用法
Look at the man who won the Guinness World Records.
Look at Tamori, who won the Guinness World Records.
「制限用法」なんて言われるとちょっと難しいけれど、これは普通の関係代名詞の文です。それに対して「非制限用法」とは関係代名詞の前にカンマがあるもの。
通常、形容詞というのは新しい情報を加えることで他と区別する役割があります。たとえば「白い犬」といったら、黒とか茶色とかいろんな犬がいる中で、今回は白い奴の話だよって限定しているわけです。
関係代名詞も同じで、たとえば例文ではいろいろな男の中でギネスに認定された人って限定しています。
すでに限定された先行詞
ただ、最初から限定されたものの話をして、「あれって実はこうなんだぜ」って補足情報を付けることもあるよね。この状況を表すのが非制限用法です。要は先行詞だけで「あぁ、あれか/あいつか」って分かるときの用法。
通常は形容詞→名詞の順番で日本語にするけど、非制限用法ではカンマまでを訳し、次に関係詞を訳すと分けた方がそれらしい。「タモリを見て。彼はギネスに登録されたんだよ。」という感じです。
今回は、タモリを例にしてみました。例文を読んで分かった人はここまでの説明がピンと来たと思うけれど、タモリを知らない人だっているはず。日本にいるかどうかは別として。
そういう人にとっては何で非制限用法で書くのかが分からないよね。この制限用法と非制限用法のどちらを使うかは、発言者がどう思っているか次第です。
聞いた人が分かるかどうかではなく、発言者が聞いている人が分かると思うかどうか。なので、もし非制限用法の場面で分からなくとも、ああ、これは「有名なんだ」とか「固有名詞なのね」って思いながら読みましょう。
「他」があるかどうか
カンマの前後を区切って訳すことから、もう1つの使い方があります。上の例文は「東大に入った息子が2人いる」の意味。普通なら「すごいなー」くらいにしか思わないけど、「みんな東大なの?」って聞かれたらどうでしょうか。
この文では何も言っていないだけで、ひょっとしたら慶応に行った3人目がいるかもしれません。限定用法は限られた範囲のことのみを言うもので、他があるかどうかは分からない表現なのです。
長文読解で「旦那を入れて4人家族だ」みたいな選択肢があったら、それはひっかけかもしれません。だってこの文だけだと他がいるかどうか分からないから。関係代名詞に関する内容真偽があったら注意しましょう。
一方、下の非制限用法の例文は、まず「彼女は息子が2人いる」ってことを宣言し、それに「東大に入りました」って情報を付け足しています。慶応に入った息子は絶対にいないのです。
ここまで理解できたら、非制限用法についての理解はOKです。あとは文法の問題として出題される点を2つだけ押さえてください。
カンマthatは不可
関係代名詞thatのところで出てきたのがここの話です。非制限用法にする場合、関係代名詞はwhoかwhichでthatは使えません。カンマthatは不可!選ばないように!
非制限用法のwhich
・He said he could speak English, which was untrue.
非制限用法と言っても関係代名詞に変わりはないので、先行詞を修飾する文です。ただ、whichにはカンマまでの文全体を先行詞と捉える働きもあります。
だから、これまでの話としてはこの例文は「真実ではない英語をを話す…」になるんだけど、この場合は「彼は英語を話せると言った。それはウソだった」となるんです。