ここまで、一般的な受動態・自動詞の受動態・進行形&完了形の受動態・疑問文の受動態と、さまざまな場面ごとの受動態の作り方を説明してきました。
今回から4回はその例外パターンについての話します。なぜ4回なのかというと、受動態の作り方が4ステップあるからです。
①目的語を主語にする→②動詞を【be+Vp.p.】にする→③OかCが残っていればそのまま書く→④主語をby+人にする、大丈夫ですか?
この4つの行程それぞれに例外事項があります。「めんどくせ!」と思うだろうけれど、この4つは多くの場合別々の話として習うものです。
でも、作り方4ステップに沿って整理していった方が文法ストーリーを自分の中で再現しやすいはず。ぜひこの順番で頭にしまいこんでおきましょう。
ただし、4つのうち3つは次の不定詞の説明を全て終えないと話が完結しません。ここらへんが言語を勉強するときの難しさですね。
もともと喋っていた言葉を頑張って無理矢理ルールに落とし込んでいるので、一直線のきれいな説明をしていくことはどうしてもできません。
だから最初はなかなかできるようにならないのが語学の特徴。でもさまざまな知識がお互いに結びついたとき、一気に分かるようになります。
どうかそれまでは諦めないで頑張りましょう。では今回のテーマ、「目的語が名詞節の受動態」に入ります。
目的語が名詞節の受動態
受動態の作り方の1つ目は「目的語を主語にする」でした。その目的語が接続詞を使って文になっているとき、つまり目的語が長くなっているとき、少し違う変化をします。
They say that he was a great soccer player.
That he was a great soccer player is said.
上の例文の1つ目を見てください。この文の意味は「みんなが彼は超すごいサッカー選手だったと言っている」です。thatから最後までが目的語、sayの内容になっています。
これを4ステップで受動態に書き換えたのが2つ目です。that〜を先頭に持ってきて、sayをis saidに変え、by themを省略しています。こう原則通り書いても間違いではありません。
ただ、英語は文の骨格、つまりSVOCを早く見せて!文型を早く教えて!って思う言語です。文型のところで話したように、文型さえ分かればある程度話の内容が見えてくるから。
だからこのように主語が節になっていると、「主語長いよ、早く動詞を見せろよ、先が見えないと不安だよ」となります。
そんな思いに答えたのが次の文です。ひとまず仮の主語として「It」を置き、先にSVOCを全部見せてしまってから、長い部分をゆっくり話すもの。
It is said that he was a great soccer player.
これは仮主語構文とか、形式主語構文とか言ったりして、英語ではよく出てきます。不定詞のところでも出てくるので、そのときにゆっくりやりましょう。
単純に4ステップで書き換えたものより、こちらの文の方が圧倒的に好まれます。すると、結果としては能動態の目的語が主語になっていないよね。
なのでこれを受動態の例外①としました。訳すときはもちろん、that〜を主語にして訳してください。
that節と不定詞の書き換え
順番に読んでくれている人にとってはここからがフライングな話となります。目的語になっているthat節を不定詞に書き換えるというもの。
先ほどの例文は「「彼はスゴい選手だった」ってことが言われている」という文でした。これは「彼は「スゴい選手だった」と言われている」でも同じですね。
違いが分かりづらいのでもう1つ。「この店のランチはうまいと言われている」と「この店はランチがうまいと言われている」、同じ意味です。
文字にするとうまく伝わらないけれど、「○○は✕✕ってことが言われている」は「○○は言われてるよ、✕✕とね」というように切り離しても同じ内容だということです。
前者を表すのがthat節で、もともと文だったのを切り離した後者を表すのが不定詞です。その結果以下のような書き換えができるようになります。
It is said that he was a great soccer player.
He is said to have been a great soccer player.
toの後ろが完了形になっているのは、上の文でwasを使っていることを表すため。準動詞の時制でやるのでここでは無視します。
that節内にあったheが下の文では主語になっていることを確認してください。Itはもともと仮に置かれたものなので、Heの登場によって消えています。